Q:結局、PTAが学校関係で寄附してOKな範囲はどこ?

A:公費部分は例外が認められる範囲なら可。私費部分は法的制約なし

  • 参考:「Q:PTA会費で学校の備品を買って寄附したらいけないの?」)
  • 義務教育は無償のはずなのに教育費が公費と私費に分かれている理由は、最高裁判所が 「義務教育無償」とは「授業料不徴収」のことだと言ったから。
  • 「義務教育は無償」「学校の経費の負担者は学校」が原則だが、最高裁判所の判断によって「学校徴収金」という名の私費負担が認められている(参考:日本教職員組合記事)。
  • 教職員の人件費、学校施設の維持管理費、学校備品費、教科書代、個人所有とならない教材費は公費負担、個人所有学用品費、学校指定物品(制服・体操着・補助教材等)、遠足・修学旅行費、給食費(食材費)、部活動個人用具・遠征費(公費補助がある部分を除く)等、児童生徒個人が受益者となるものは私費とされている。(参考:郡山市「学校徴収金取扱に関するガイドライン<公費・私費負担区分等ガイドライン>」←PTA会費を学校徴収金と一体で徴収することを認めている点で問題があるが、公費・私費負担と「市が負担する経費で行う標準的な水準を上回るもの」等の寄附を受ける基準、寄附採納手続きについてわかりやすく整理されている)
  • PTAからの寄付について特に自治体規則の確認が必要なのは公費負担部分であり、私費負担部分について特に寄付に関する法的制約はないが、PTAの活動目的との整合性、任意加入団体としての公平性、学校教育の場における児童生徒に対する差別的取り扱いの禁止、会計の透明性、会員合意に注意が必要。(参考:「Q:PTA会費で学校の備品を買って寄附したらいけないの?」)

▽根拠

日本国憲法

第二十六条 

義務教育は、これを無償とする。

教育基本法

第五条 (義務教育)

4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない

学校教育法

第五条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

第六条 学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部及び中学部における義務教育については、これを徴収することができない

義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律

第一条(この法律の目的)

この法律は、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措について必要な事項を定めるとともに、当該措置の円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備し、もつて義務教育の充実を図ることを目的とする。

学校給食法

第十一条(経費の負担)

学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とする。

2 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第十六条に規定する保護者の負担とする。

(※注:近年自治体が「給食費無償化」を打ち出しているのはこの規定に上乗せして独自の行政サービスとして展開しているため。) 

義務教育費国庫負担法

第一条(この法律の目的)

この法律は、義務教育について、義務教育無償の原則に則り、国民のすべてに対しその妥当な規模と内容とを保障するため、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的とする。

最高裁判所判例  昭和38(オ)361 義務教育費負担請求

憲法二六条は、すべての国民に対して教育を受ける機会均等の権利を保障すると共に子女の保護者に対し子女をして最少限度の普通教育を受けさせる義務教育の制度と義務教育の無償制度を定めている。しかし、普通教育の義務制ということが、必然的にそのための子女就学に要する一切の費用を無償としなければならないものと速断することは許されない。けだし、憲法がかように保護者に子女を就学せしむべき義務を課しているのは、単に普通教育が民主国家の存立、繁栄のため必要であるという国家的要請だけによるものではなくして、それがまた子女の人格の完成に必要欠くべからざるものであるということから、親の本来有している子女を教育すべき責務を完うせしめんとする趣旨に出たものでもあるから、義務教育に要する一切の費用は、当然に国がこれを負担しなければならないものとはいえないからである。

憲法二六条二項後段の「義務教育は、これを無償とする。」という意義は、国が義務教育を提供するにつき有償としないこと、換言すれば、子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたものであり、教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である。そして、かく解することは、従来一般に国または公共団体の設置にかかる学校における義務教育には月謝を無料として来た沿革にも合致するものである。また、教育基本法四条二項および学校教育法六条但書において、義務教育については授業料はこれを徴収しない旨規定している所以も、右の憲法の趣旨を確認したものであると解することができる。それ故、憲法の義務教育は無償とするとの規定は、授業料のほかに、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない

もとより、憲法はすべての国民に対しその保護する子女をして普通教育を受けさせることを義務として強制しているのであるから、国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいところであるが、それは、国の財政等の事情を考慮して立法政策の問題として解決すべき事柄であつて、憲法の前記法条の規定するところではないというべきである。